真夏の思い出




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浜田剛史
1986年7月24日 夏。
両国国技館でのWBC世界Jウェルター級タイトルマッチ。
ボクシングの世界チャンピオンは浜田剛史の小学5年からの夢だった。
そしてそれは2年間、毎日のように浜田を追いかけ続けたぼくにとっても夢となっていた。
1R3分9秒、浜田剛史はチャンピオン、レネ・アルレドンド(メキシコ)をリングに悶絶させていた。

震えた。ただ震えた。
嬉しさで呼吸ができないほどにぼくの身体は震えていた。

冒険
南の島へ行くと必ずバイクを借りる。
そして地図にない景色を求めての冒険へと出て行く。
だれもいない海を見つける。
地元の人たちの生活が見えてくる。
子供たちの笑い声がある。
そして突如として感動が訪れることがある。

森の中、ぼくの目の前に大きな滝が飛び込んできた。

二人ぼっちのキャンプ
数年前、夏の終わりに近づくと、キックボクサーの立嶋篤史と新潟の妙高でトレーニングキャンプを張っていた。
二人ぼっちのキャンプ。
夏のスキー場を何度もダッシュする。
ぼくは篤史の10分の1の時点でダウンだ。
荒い息をたて、ぶっ倒れているぼくの前を篤史は顔を歪めながら走り続ける。
強くなるために何百回、何千回と顔を歪めながらも篤史は走り続けていた。

仙人池
妙高でのキャンプで立嶋篤史と笹ヶ峰を走った。
前を走る篤史の姿はあっという間に見えなくなった。
森の中の道。
緑の風が吹く。土の臭いが身体を包む。ときおり木々の間から夏の陽射しが差し込んでくる。
苦しいが気持ちがいい。
と、遙か先を走っていたはずの篤史の背中が見えた。
篤史は背中を見せて立っていた。
そして篤史に追いついたとき、ぼくは感嘆した。
篤史の見つめていた目の前の光景・・・
「すげぇよ!」
篤史が感動の声を上げた。
そこには鏡のように森を映しだした青があった。
仙人池と呼ばれる池がそこにあった。

鞍馬の大杉
京都に住んでいた二十数年前、よく訊ねた場所がある。
鞍馬から貴船へと抜ける山道・・・
そこを歩くとまるで禅定に入ったように心が静になる。
真夏でも静の冷たい空気が身体を包み込んでいく。
 
鴨川の源流でもある貴船川あたり一帯は、強い気を放つ場所だと太古の昔から言われていると最近知った。
貴船とは、気の生まれる根元、気生根の語源から来ているということだ。
鞍馬の由岐神社にある大杉・・・
あのころぼくは惹かれるようにこの大杉を見上げていたことを思い出す。
あれはこの大杉から気を感じてのことだったのだろうか・・・

2003年の夏、久しぶりにぼくはこの大杉に会いに行ってきた。



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